不登校の子の安心を守る「共有メモ」|家庭と学校の連携で伝えたいこと
学校との連絡が続くと、同じ説明を何度もしたり、返事を急かされているように感じたりして、保護者も子どもも疲れてしまうことがあります。連携の目的は、登校を急がせることではありません。本人の安心を守り、家庭・学校・学校外の居場所が同じ方向で支えられるようにすることです。
連携の目標は「学校へ戻すこと」だけではありません
文部科学省は、不登校への支援について、学校に登校するという結果だけを目標にせず、子どもが自分の進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指す必要があると示しています。学校、家庭、必要に応じた関係機関が情報を共有し、一人ひとりに合った支援を考えることも重視されています。
そのため、最初から『いつ登校できるか』だけを話し合う必要はありません。今つらいこと、安心できる条件、本人が望んでいることを共有し、まず負担を増やさない関わり方をそろえることが出発点になります。
共有する前に、本人の気持ちと範囲を確かめます
大人同士が善意で詳しく伝えても、本人が『勝手に話された』と感じれば、相談すること自体が怖くなることがあります。緊急性がある場合を除き、誰に何を伝えるのか、本人が嫌がる内容はあるかを、分かる範囲で確認しましょう。
本人がうまく言葉にできないときは、『先生には朝の電話を控えてほしいと伝えてもいい?』『好きなことは話していい?』のように、一つずつ具体的に聞くと答えやすくなります。すべてを一度に決めず、後から変更できることも伝えます。
一枚の共有メモにまとめたい5つのこと
長い経緯を毎回説明する代わりに、今必要な情報を一枚にまとめておくと、保護者の負担を減らし、担任以外の先生とも認識を合わせやすくなります。診断名や原因を決めつけるのではなく、実際に見られる様子と本人の希望を中心に書きます。
- 現在の様子:朝になると腹痛を訴える、教室の話題で表情が硬くなるなど、事実を短く書く
- 安心につながること:事前に予定が分かる、短い連絡、静かな場所、好きな活動など
- 避けたい関わり:突然の訪問、登校日の約束を迫る、クラス全体の前で声をかけるなど
- 本人の希望:今は休みたい、プリントだけ受け取りたい、別室なら行けるかもしれないなど
- 次に確認する日:一度決めた対応を固定せず、負担や気持ちの変化に合わせて見直す日を決める
学校との話し合いでは、4つだけ決めれば十分です
一回の面談ですべてを解決しようとすると、話す側も聞く側も情報が多くなりすぎます。まずは、連絡窓口、連絡方法、当面の小さな目標、次回の確認日を決めます。窓口は担任に限らず、養護教諭、教育相談担当、スクールカウンセラーなど、家庭が話しやすい相手について相談できます。
目標は『毎日登校する』のように大きくせず、『学校からの連絡を週1回にする』『教材を受け取る』『本人が望むときだけオンラインで話す』など、今の負担を増やさない大きさにします。うまくいかなければ、本人や家庭の努力不足と考えず、方法や目標を見直します。
- 誰を主な連絡窓口にするか
- 電話・メール・面談など、どの方法なら負担が少ないか
- 次の1〜2週間で試すことは何か
- いつ、誰と振り返るか
フリースクールを利用するときも、共有範囲を先に決めます
学校外の居場所を利用する場合は、通った日、活動内容、学習の様子など、学校へ共有できる情報を施設に確認します。同時に、本人と保護者が何をどこまで共有したいかも確認します。文部科学省の通知でも、関係者間の情報共有と定期的な見直しの有効性、個人情報の取扱いへの配慮が示されています。
LUMILIAでは、本人と保護者のご希望・同意を確認したうえで、必要に応じて在籍校との情報共有を考えます。出席扱いを含む学校側の判断を保証するものではありませんが、家庭だけで説明を抱え込まなくてよい形を一緒に整理します。
連携そのものが苦しくなったら、いったん整理して大丈夫です
学校からの連絡で本人の不安が強まる、保護者が電話に出ることもつらい、話し合いが責任の確認ばかりになる。そのようなときは、連絡頻度を下げる、窓口を変える、文面でやり取りするなど、連携の方法自体を見直して構いません。
保護者だけで調整することが難しい場合は、学校の教育相談担当、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、自治体の教育支援センターなどへの相談も選択肢です。本人と家庭が安心して話せる状態をつくることから始めましょう。
参考資料
制度や支援の考え方は、以下の公的資料を確認しています。