フリースクールに通うと在籍校はどうなる?|転校・出席・学籍の基本
フリースクールを検討するとき、『今の学校を辞めることになるの?』『在籍校との関係は切れる?』と心配になる保護者の方は少なくありません。フリースクールの利用、在籍校の学籍、指導要録上の出席扱いは、それぞれ別の話です。特に小・中学生と高校生では確認すべき点が異なるため、手続きを急がず、現在の学校と利用先の両方へ順番に確認することが大切です。
この記事でわかること
フリースクールを利用する際の在籍校との関係を、学籍・出席扱い・学習評価に分けて整理します。
- フリースクールへ通うことと転校の違い
- 小・中学生と高校生で異なる確認事項
- 利用前に在籍校へ相談しておきたい内容
まず知っておきたいのは、三つが別の手続きだということです
『フリースクールへ通う』『在籍校を変更する』『フリースクールで過ごした日を出席扱いにする』は同じ意味ではありません。一般に民間のフリースクールは、学校教育法第1条に定める小学校・中学校・高等学校そのものではありません。そのため、利用を始めただけで自動的に転校が成立したり、在籍校の学籍が移ったりするわけではありません。
また、在籍校に学籍があることと、学校外で過ごした日が指導要録上の出席扱いになることも別です。出席扱いは、保護者、在籍校、学校外の施設が情報を共有し、一定の要件を満たすかを確認したうえで、在籍校の校長が個別に判断します。フリースクールへの入会だけで自動的に決まる制度ではありません。
小・中学生は、在籍校とのつながりを保ちながら利用する形が基本です
義務教育段階では、住所などをもとに教育委員会が就学する学校を指定します。民間のフリースクールを利用する場合も、通常は指定された小・中学校に在籍したまま、学校外の居場所や学びの場として通います。現在の学校から別の小・中学校へ転校したい場合は、フリースクールへの申込みとは別に、教育委員会などで就学校の変更手続きが必要です。
在籍校との連絡を完全になくす必要はありません。連絡の頻度、教材や配布物の受け取り方、面談への参加、学校行事や定期テストをどうするかは、本人の状態に合わせて相談できます。連絡自体が本人や家庭の大きな負担になっている場合は、窓口を一人にする、毎日の連絡と支援の相談を分けるなど、続けやすい形へ調整してもらいます。
出席扱いを希望する場合は、利用開始前後から相談します
文部科学省の通知では、義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受ける場合、保護者と学校の連携など一定の要件を満たし、その支援が社会的な自立に向けて適切だと評価できるとき、校長が指導要録上の出席扱いとすることができます。本人が現在、学校への登校を希望しているかどうかだけで判断する仕組みではありません。
相談するときは、『出席扱いになりますか』だけで終えず、誰が判断するのか、施設からどのような記録が必要か、何日ごと・何か月ごとに状況を共有するかを確認します。通室日、滞在時間、活動や学習の内容、本人の様子など、学校が必要とする情報は個別に異なります。施設側が一律に出席扱いを保証することはできません。
学習したことを成績へ反映できる場合もあります
出席扱いと成績評価も別に考えます。文部科学省は、学校外の施設などで行った学習について、学校が計画や内容を教育課程に照らして適切と判断した場合、学習成果を評価し、指導要録や通知表などへ反映することには意義があると示しています。さらに、2024年8月の通知では、不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を成績評価へ反映する考え方が整理されました。
ただし、使用する教材や取り組む単元、学習状況の伝え方を学校が確認できることが重要です。後からまとめて認めてもらおうとするより、学習を始める前か早い段階で、何を記録すればよいかを学校へ相談しておくと進めやすくなります。本人の負担を増やさない記録方法も一緒に考えます。
高校生は、単位・進級・卒業条件を個別に確認します
高校生も、学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けた日を、一定の要件のもとで指導要録上の出席扱いにできる場合があります。一方、文部科学省の通知は、この出席扱いが、科目の履修を認定する際に必要な授業への出席と同じではないことにも注意を求めています。
高校では、科目ごとの出席時数、単位の認定、進級、卒業の条件が関係します。在籍している高校の規則や履修状況によって対応が異なるため、『学校外施設の利用日がどの記録になるか』『不足している単位や出席時数は何か』『レポート、試験、補習などで対応できるか』を、担任だけでなく必要に応じて学年主任や教務担当にも確認します。退学や転校を先に決めず、現在の学校に在籍したまま利用できる期間と条件を整理してから進路を考えます。
在籍校へ確認したいことを、五つに整理します
最初の相談ですべてを決める必要はありません。本人の希望と負担を伝え、まず連絡方法と確認担当者を決めます。学校側でも確認に時間が必要な場合があるため、質問をメモにして渡すと整理しやすくなります。
- 在籍を続けながらフリースクールを利用する場合の連絡窓口
- 欠席連絡の方法と、学校から本人への連絡方法
- 出席扱いを検討する場合に必要な条件・記録・確認期間
- 学校外で行った学習を共有し、評価へ反映できる可能性
- 行事、テスト、教材、進級・卒業について個別に確認する事項
本人には、学校との関係を大人が整理すると伝えます
制度の説明を一度に本人へ背負わせる必要はありません。『今の学校をすぐ辞めるわけではないよ』『学校との連絡や手続きは大人が確認するよ』『行事や勉強をどうするかは、今すぐ全部決めなくて大丈夫』と、安心につながる部分から伝えます。
フリースクールを利用する目的は、手続き上の数字だけを整えることではありません。本人が安心して過ごせること、学びや人とのつながりを本人に合う形で保てることを土台に、在籍校との関係も無理のない形へ整えていきます。川崎市で利用できる公的な相談先や学校外の居場所も含め、家庭だけで結論を急がず相談して構いません。
参考資料
制度や支援の考え方は、以下の公的資料を確認しています。