不登校の子のゲーム時間が心配なとき|取り上げる前に考えたい7つの視点
学校には行けないのに、ゲームなら何時間でもできる。夜遅くまで画面を見ている姿に、『このままで大丈夫なのか』『取り上げた方がよいのか』と不安になる保護者の方は多いと思います。ただ、突然取り上げると、本人が今つながっている人や安心できる時間まで失うことがあります。ゲームが今どんな役割を持っているかを知り、生活と安全を守れる関わり方を一緒に探してみましょう。
ゲームをしている時間だけで、本人の状態を決めつけない
学校へ行けない時期のゲームは、つらいことを考えずに済む時間、達成感を得られる活動、友達と話せる場所、昼間を過ごすための支えなど、子どもによって異なる意味を持ちます。長時間だからといって、本人の状態や理由を一つに決めることはできません。
一方で、睡眠、食事、体調、金銭、オンライン上の安全に困りごとが生じているなら、ゲームを責めるだけで終わらせず、生活全体を見て調整する必要があります。『ゲームをやめれば登校できる』と結論を急がず、今守りたいことと変えたいことを分けて考えます。
1.まず、ゲームが担っている役割を知る
本人にとって大切なものを知らないまま時間制限の話をすると、『分かってもらえない』『唯一の楽しみを奪われる』と感じやすくなります。落ち着いているときに、何が面白いのか、誰と遊んでいるのか、どんなところが得意なのかを聞いてみます。
詳しく説明してくれないときは、無理に聞き出す必要はありません。画面をのぞき込んだり、勝手に履歴を確認したりせず、『よかったら今度教えて』と伝えます。本人が話してくれたときは、すぐ生活指導へつなげず、まず内容を知る時間にします。
2.時間だけでなく、生活への影響を一緒に見る
『一日何時間なら正解か』だけでは、本人に合う調整はできません。同じ時間でも、食事をとれているか、眠れているか、痛みや強い疲れがないか、やめたい場面で区切れるかによって状況は異なります。
厚生労働省の睡眠ガイドでは、子どもの良い睡眠を支えるため、生活習慣やデジタル機器を含めた環境を整える視点が示されています。ゲームだけを原因と決めつけず、起床、食事、入浴、日中の活動、就寝を含めて、どこなら少し整えられそうかを考えます。
- 睡眠や食事を大きく削っていないか
- 頭痛、目の疲れ、肩や腰の痛みなどを我慢していないか
- 課金や個人情報の扱いで困りごとがないか
- ゲーム以外の楽しみや会話が完全に途切れていないか
3.注意する前に、困っていることを具体的に伝える
『ゲームばかり』『普通はそんなにやらない』という言葉では、本人は何を変えればよいか分かりません。保護者が困っていることを、『夜中の音で家族が眠れない』『食事を抜いて体調が心配』『高額な課金は家計で負担できない』のように具体的に伝えます。
そのうえで、『ゲームをやめるか』ではなく、『夜の音をどうするか』『食事をとれる区切りをどこに置くか』を一緒に考えます。問題をゲーム全体から切り離すと、本人が大切にしている時間を守りながら、必要な部分だけ調整しやすくなります。
4.ルールは少数にして、本人と決め直せる形にする
保護者が細かな禁止事項を一度に決めると、守れなかったことを巡る言い争いが増えやすくなります。最初は、課金、夜間の音、食事、安全など、家庭で特に守る必要がある項目を一つか二つ選びます。
終了時刻だけで区切りにくいゲームでは、『試合が終わったら』『次のセーブ地点まで』など、本人が実行しやすい区切り方も考えられます。まず短期間試し、うまくいかなければ、本人の意思の弱さと決めつけず、時間、合図、ルールの大きさを見直します。
- なぜ必要なルールなのかを説明する
- 本人が守れそうな方法を聞く
- 破ったときの罰より、次の調整方法を決める
- 保護者側も約束した対応を変えない
5.オンライン上の安全は、利用時間と分けて確認する
ゲーム時間が短くても、個人情報、知らない相手とのやり取り、暴言、課金などの問題は起こり得ます。利用時間の交渉だけでなく、名前、学校、住所、顔写真を送らないこと、困ったメッセージを受けたときの相談先、購入時の確認方法を話し合います。
トラブルが起きたときに強く叱られると思うと、本人は隠してしまうことがあります。『困ったら一緒に対応する』『すぐゲームを取り上げるためではなく、安全を守るために教えてほしい』と伝え、相談できる関係を優先します。
6.ゲームから、eスポーツ・PC・学びへ広げる
ゲームを続ける条件として勉強を押しつけるのではなく、本人の興味の中にある小さな学びを見つけます。攻略情報を調べる、PCの設定をする、チームで役割を考える、試合を振り返る、動画を編集する、ゲーム制作やプログラミングに触れるなど、入口はさまざまです。
eスポーツの価値は、上手な人だけが大会を目指すことではありません。同じゲームを通じて人と話す、ルールを守る、勝ち負けから気持ちを切り替える、自分の得意な役割を知るといった経験も含まれます。ただし、参加や交流を急がせず、見ているだけ、一人で練習するところからでも構いません。
7.家庭だけで調整できないときは、相談につなげる
ゲームを巡る言い争いが続く、本人もやめたいのに区切れず困っている、睡眠や食事が大きく崩れている、暴力や高額課金など安全に関わる問題がある場合は、家庭だけで解決しようとせず、学校の相談担当、教育相談、地域の相談窓口、医療機関などへ相談します。
相談することは、本人を病気と決めつけることではありません。今起きている困りごとを整理し、本人と家族の負担を減らす方法を一緒に探すためです。本人が相談を拒む場合も、まず保護者だけで状況を伝え、関わり方を相談できます。
ゲームを、安心と次の一歩をつなぐ入口に
ゲームを全面的に肯定することと、生活への影響を放置することは同じではありません。本人が大切にしている理由を理解し、安全と生活を守るためのルールを一緒に整えることで、禁止か放任かの二択から離れられます。
LUMILIAでは、PC・ゲーム・eスポーツを、自分で選べる過ごし方の一つとして位置づけています。ゲームだけをさせる場所でも、ゲームをやめさせる場所でもありません。好きなことから安心して人や学びとつながり、次にやってみたいことを少しずつ増やせるように関わります。
参考資料
制度や支援の考え方は、以下の公的資料を確認しています。