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不登校の子の「学び直し」はどこから? 分かるところから始める6つの工夫

休んでいる期間が長くなると、『授業に追いつけるだろうか』『どこから勉強を始めればよいのか』と不安になるのは自然なことです。ただ、最初から今の学年の教科書を全部やり直そうとすると、本人にとって学習が再び苦しいものになることがあります。学び直しの出発点は、遅れを数えることではなく、今の本人が安心して取り組める場所を一緒に探すことです。

学習の遅れを、本人の努力不足にしない

不登校の背景には、人間関係、集団で過ごす負担、学習のつまずき、心身の疲れなど、さまざまな事情が重なっていることがあります。勉強に手が伸びない時期があっても、『やる気がない』『怠けている』と決めつける必要はありません。

文部科学省も、不登校支援では登校という結果だけを目標にせず、本人の希望を尊重し、ICTやフリースクールなども活用しながら一人ひとりに応じた教育機会を確保することを示しています。学び方や学ぶ場所は、一つに限られません。

1.「何年生の内容か」より、取り組める条件を探す

同じ教科でも、『文章を読むのは好きだけれど書くのは疲れる』『計算は不安だが図形はおもしろい』ということがあります。学年単位でできる・できないを判断せず、興味のある内容、分かる単元、負担の少ない方法を細かく見つけます。

本人に尋ねるときも、『何を勉強する?』という広い質問より、二つほどの選択肢を示す方が答えやすいことがあります。答えが出ない日は、選ばずに終えても大丈夫です。

  • 読む・書く・聞く・見る・操作するうち、今いちばん楽な方法はどれか
  • 紙の教材、動画、PC、会話のうち、始めやすいものはどれか
  • 静かな場所、一人、誰かと一緒など、集中しやすい環境は何か

2.最初の課題は、小さく終わりが見えるものにする

学習を再開する日は、たくさん進めることより『自分で始めて、自分で終えられた』経験をつくることを優先します。プリント一枚ではなく一問だけ、教科書一章ではなく見開きの図だけ、という大きさでも構いません。

時間も最初から固定せず、本人と『ここまでにする』『疲れたら途中でやめる』という終了条件を決めておきます。余力を残して終えられると、次に取り組むことへの抵抗を減らしやすくなります。

3.テストより、会話と試行で「分かる地点」を見つける

どこでつまずいているかを知るために、最初から広い範囲のテストをする必要はありません。問題を一緒に見て、『ここまでは分かる』『この言葉が分からない』『計算はできるけれど式にするのが難しい』と確認します。

間違いを点数にせず、次に説明する場所を見つける手がかりとして扱います。分からないところまで戻ることは後退ではありません。土台を確かめることが、その先を楽にする準備になります。

4.PCや好きなことを、教科学習への入口にする

学びは、問題集だけで起こるものではありません。PCで興味のあることを調べる、好きなゲームのルールや攻略情報を読む、画像を編集する、文字を入力する、簡単なプログラムを試すといった活動にも、読む・書く・比較する・順序立てる・試して直す経験があります。

ただし、ゲームやPCを使えば自動的に教科学習になるわけではありません。本人が楽しめていることを大切にしたうえで、『今の説明を短くまとめてみる?』『数字を表にしてみる?』と提案し、興味と学びを無理なくつなぎます。提案を断っても、その好きな時間自体を否定しないことが大切です。

  • タイピングや検索から、言葉を読む・要点を選ぶ経験へ
  • ゲーム内の数値や記録から、割合・平均・表やグラフへ
  • 攻略や制作の手順から、説明文を書く・人に伝える経験へ
  • 設定やプログラミングの試行錯誤から、仮説を立てて確かめる経験へ

5.できた量ではなく、取り組みやすかった条件を記録する

記録するなら、ページ数や点数だけでなく、『午後なら始めやすかった』『動画を見た後は一問できた』『隣に大人が座り続けると疲れた』といった条件も残します。うまくいかなかった日も、次の方法を考えるための情報になります。

本人に見せる記録は、評価表ではなく一緒に作るメモにします。『今日は何が少し楽だった?』『次も同じでよい?』と確認し、続けるか変えるかを本人が選べるようにします。

6.学校と共有するときは、成果だけでなく方法も伝える

家庭や学校外で学んだ内容を在籍校と共有する場合は、教材名や学習時間だけでなく、どのような配慮があれば取り組めたか、本人が次に何を希望しているかも伝えます。学校での教材の受け取り方や課題量についても、今の負担に合わせて相談できます。

文部科学省は、欠席中に行った学習の成果を成績評価に反映できることや、学校外・自宅での学習について出席扱いとなる場合があることを案内しています。ただし、条件や判断は在籍校と個別に確認する必要があります。記録を残すことは役立ちますが、評価や出席扱いだけを学習の目的にしないことも大切です。

学ぶ準備が整っていない日は、立ち止まって大丈夫です

教材を出すだけで表情が硬くなる、眠れなくなる、強く自分を責める。そのような様子があるときは、課題の量を減らすだけでなく、いったん学習から離れることも選択肢です。まず安心して過ごせる時間をつくり、本人と相談できる状態を待ちます。

LUMILIAでは、学校の課題や基礎の学び直しだけを一律に求めるのではなく、休む、好きなことをする、PCに触れる、人と話すといった過ごし方も含め、その日の本人に合う入口を一緒に考えます。学年に追いつくことを急がず、『分かる』『やってみたい』を少しずつ増やしていきます。

参考資料

制度や支援の考え方は、以下の公的資料を確認しています。